●バナナマンダイエット


うどん屋のどん兵衛さんは、ダイエットに成功したという。
流行のバナナマンダイエットというものらしい。

「バナナマンだけで辛抱したからね」
げっそりとした顔で言うので、説得力がある。
かつては力士並みの体重があったが、今は、
「体重計が、まるで反応しなくてね」
それはすごい。
最近、うどんにだんだん腰がなくなってきたのは、そのためか。
新しいうどん屋を探さなければならなくなった。

「バナナマンの力はほんとすごいよ」
ふわふわと妖精のように浮きながら、言う。
どん兵衛さんは、ずいぶんと口も軽くなった。


僕が落ち込んでる間の物語あなたが生まれあなたが泣いて


 ●嘆きのジャック


あーん、とすると魚の骨が出てきた。
それから次々と、出てきた。
噛み切る途中で行方不明になったスルメが。
カズヒコくんに殴られて折れた歯が。
七並べの時に隠していたジャックが。
前の人と被って言えなくなってしまった意見が。
本当は言いたかった言い訳が。

「苦しかったでしょう」
苦しみの元を取り出した後で、先生が微笑んだ。
はい……。つられるように微笑む。

「僕も、ずっと苦しかったんだぞ」
萎れながら、ジャックがつぶやく。


 ●巨人の肩車


街頭テレビの前に巨人が立っていた。
「そんなところに立っていると見えないじゃないですか」
文句を言うと、巨人は身を屈めて、乗りなさい、と言う。肩車などしてもらうのは、何年振りであろうか。大きかった父の背を思い出しながら、巨人の背を見つめていると履いていた靴で巨人の背を踏んでしまったが、巨人は気づかなかったか少しも気にする様子もなく、さあさあ早くと言うので思い切り巨人の背を踏みながら肩へと駆け上がった。
巨人の視点は圧倒的な優越感に満ちていた。巨人の上から地上を見ると、人々が急に小さくなってしまったような気がした。そして同じように人々の話す声も小さくなり、どこか遠い世界での話のような距離が開いてしまったのである。遥か故郷を思わせるその距離は、一時芽生えた優越感を徐々に奪い取り、残された未練だけを募らせていくようであった。地に足をつけていたら、手を伸ばし拾うこともできたはずの未練も、今は、遠い……。たかが、テレビを見るために、遠くに行ってしまった。

「そんなところで邪魔なんだよ、巨人野郎!」背後から、男が罵った。
「なんですとー」巨人は、怒り狂い、男を踏み潰そうと足を上げた。
「ひゃー、助けてくれ!」逃げ惑う男を、逃がすものか、と巨人は追いかけた。
そして、その巻き添えを避けようとして、大勢の人が逃げ惑った。街は、地獄の炊き込みご飯にうすくち醤油を注いだように大混乱となった。
頭に血が上った巨人を、誰も止めることはできず、ただ一人安全なのは巨人の肩を借りた自分だけであった。見ようによっては、巨人を操って暴れさせている人にも見えるかもしれない。
パトカーのサイレンの音が近づいてくる。物凄い数である。
試合は、サンフレッチェ広島が7-1で FC岐阜に勝利した。


2008.09.23  下手くそな説明
説明は苦手。
だからといって、何度も試みる。


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弱音を吐き強くなるために作ったブログでしたが、
弱音を吐くことに疲れ、あまり吐けなくなったため、
今は、ひっくり返せない玩具箱をじっと見ているようなブログです。
じっと見ているしかないキミに、僕は何を書きたかったのだろう……。
キミは、あの日の僕だよ。